邦子さんの言葉

2012-04-15

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くぐなり浜の作家、阿部邦子さんのお話を伺う機会もあり
大きなメッセージをたくさん受け取った。
たくさんお伝えしたいけれど、
その中から特に心に響いた2つのお話を。

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まずひとつは、
「私たちのことを忘れないのもだけど、
『私たちの気持ち』を忘れないでください」という言葉。

1年経って、
「いつまで引きずってるのもう忘れて前に進みなさいよ」
というようなことを言われることが出てきたのだそう。

だけど、今自分の周りを見渡して想像してみてください。
家の中にはたくさん思いの詰まった宝物たち、大事なものがある、
隣には大事な人が笑っている・・
それが一瞬にして全部無くなるんです。

あなたはそれで「一年経ったから大丈夫」なんて思えますか?
今、想像したその気持ちを忘れないでください。

本当の意味で想像することをちゃんと続けていこうと思った。

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そしてもう一つは
「命は別々なの。自分の命をまず大事にして。
 決して死なないで」という言葉。

一年前、誰かを迎えに行った人が、助けに行こうとした人が
流されて犠牲になるということが多かったのだそう。

だから、帰ったらすぐに家のまわりを
子どもでも、親とでも、恋人とでも歩いてみて
何かあったらどこに逃げるのか。
徹底していてほしい。

何かあったときには
「あの人は必ずあそこに行っているはず。
あれだけ約束したのだから」とそのことを信じてほしい。

こんな話があった。
ある幼稚園で地震が起きたときに先生が
「みんな危ないからしゃがみなさい」と言うと
3歳の男の子がものすごい勢いで泣き出した。

「地震があったら津波が来るから
おばあちゃん、高いところに逃げなさいって言ってた」と。

先生は他の子たちも混乱するといけないから、と
なだめようとするんだけど、
「おばあちゃん言ってたもん」と決して泣き止まなかった。

困った先生はその子をなだめる意味で
「わかった。じゃあみんなで上に登ろうか」と
高台へ全員を連れて行った結果、その幼稚園はみんな助かったのだそう。

子どもでも、言っておけばわかるんです。
それに子どもには本能もある。
「あの子はきっとちゃんと約束した場所に行ってる」
そのことを信じて、まずは自分の命を守ってください。
命は別々だから。
  
あなたたちに死んでほしくないから言うんだよ。
決して死なないで。生きて。

もし万が一、こっちで何かあった時、
その言葉を一番叫びたいのは、届けたいのは
被災した邦子さんたちなのだと思う。

でもその瞬間には間に合わないから
私が代わりに自分の場所で、ラジオという場所で
その思いを、リアルな声を代弁しようと思った。

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邦子さんは何度も
「本当の復興って何だと思う?」と言った。
「町がきれいになったら、建物が建ったら復興なのかな?
お店を再会できたら復興なのかな?私にはわからない」

帰りのバスの中、みんなで感想をマイクで話していたときの
ある男の子の言葉が胸に残った。
「僕はまだ復興って何なのか?の答えを見つけられていません。
でも何かあった時、決っして死なないようにしようと思います。
自分たちが死なないことが、一人でも多く生きることが
邦子さんたちの復興につながると思うから」

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生きようと思います、心から。
そしてそのために備えようと思います。